障害発生時には、ダウンタイムの一秒一秒がビジネス損失に直結します。グローバルサーバー負荷分散 (GSLB) は、従来の受動的な対応型ディザスタリカバリから、積極的な防御型ディザスタリカバリへと進化させます。プログレスでは、Progress Kemp LoadMaster ベースの GSLB を活用して、IT システムのディザスタリカバリ計画を強化する方法を紹介するオンラインウェビナーを開催しました。このブログでは、ウェビナーで開設された内容を概述します。
ウェビナーの録画は、LoadMaster Web サイトのウェビナーのページから視聴できます。このウェビナーでは GSLB の概要を説明し、アプリケーション配信およびディザスタリカバリ計画をどのように向上させるかを解説しています。GSLB をディザスタリカバリ戦略の一部として導入することで、潜在的なダウンタイムから組織を保護し、より良いユーザーエクスペリエンスを提供できます。
詳細については、GSLB についての Web ページ、 または GSLB データシートをご覧ください。
ウェビナーの主なポイント
GSLB は複数のデータセンター間でトラフィックを最適化し、高可用性と事業継続性を維持することでディザスタリカバリを強化します。
GSLB の主な利点には、パフォーマンス、スケーラビリティ、障害発生時のレジリエンスの向上、さらに地域データアクセス要件への対応が含まれます。
GSLB は高度なヘルスチェックを実施し、最も近く稼働中のリソースへトラフィックをルーティングすることで、ダウンタイムを最小限に抑えます。
位置情報ベースのルーティングアルゴリズムを用いた様々な展開方法が存在し、組織のニーズに応じた柔軟な選択が可能です。
LoadMaster 360 と GSLB を組み合わせることで、アプリケーション配信インフラの詳細な監視、管理、トラブルシューティングを実現する統合プラットフォームを提供します。
GSLB とは
GSLB は、ディザスタリカバリ戦略を強化するための重要なコンポーネントです。地理的に分散したデータセンター間でネットワークトラフィックを柔軟に管理し、高可用性とビジネス継続性を維持します。ローカルデータセンターやクラウドサービス、さらには地域全体に影響を及ぼす障害が発生しても、アプリケーションおよび IT サービスを途切れることなく提供できます。
GSLB の利点
ウェビナーでは、LoadMaster GSLB を導入することで得られる主な利点が紹介されました。
- サイトトラフィックの監視によるパフォーマンス向上
複数のデータセンター間でトラフィックを最適化し、アプリケーションの応答性とユーザー体験を改善します。 - 業務拡張に対応するスケーラビリティ
組織の成長や運用拡張に伴い、GSLB は容易にスケールアップ/スケールアウトが可能です。 - 障害時の回復力
自動トラフィック切替により、障害発生時でもダウンタイムを最小化し、サービスの継続性を確保します。 - 地域データアクセス規制への対応
データの所在やアクセス要件に沿ったトラフィック管理が可能で、コンプライアンス維持に寄与します。
GSLB の中心的な機能は事業継続性にあり、サービス停止による売上や業務生産性への影響を防ぎます。
GSLB の仕組み - 技術概要
ウェビナーでは、GSLB の動作原理や DNS リダイレクション、各種展開モデルの技術的な概要も説明されました。
アクティブ/アクティブ展開 - 複数のリソースが地理的に分散した複数サイトで同時稼働し、全サイトが利用可能な場合はすべてのサイトがサービスを提供します。オンプレミス、クラウド、ハイブリッドで展開可能です。
アクティブ/パッシブ展開 - 1つのデータセンターをプライマリ (アクティブ) 、もう1つのデータセンターをセカンダリ (パッシブ) として指定します。通常はすべてのトラフィックがプライマリに向けられますが、プライマリが応答不能になった場合、GSLB が自動でパッシブサイトにトラフィックをリダイレクトします。
位置情報ベースルーティング - 地理的な近接性に基づきトラフィックを誘導します。サイトがダウンした場合、最も近くの稼働中のサイトにルーティングされます。
近接ルーティング - クライアントの経度・緯度情報に基づき、予め設定されたサイト優先度に関係なく最も近いデータセンターへ誘導します。
アダプティブルーティング - リアルタイムのトラフィック状況に応じてセッション割り当てを動的に調整します。販売イベントや新製品リリース時の高トラフィック期間でも、プライマリサイトとディザスタリカバリサイト間で負荷を賢く分散し、特定サイトへの過負荷を防ぎ、性能と可用性を維持します。
実装のベストプラクティス
ウェビナーでは、LoadMaster GSLB を導入する際のベストプラクティスも紹介されました。
高可用性の確保 - GSLB を複数サイトに展開し、単一障害点を防ぎます。冗長化された GSLB インスタンスにより、サービス継続性が検証可能です。
定期的なヘルスチェック - バックエンドサーバーの稼働状況を定期的に確認することで、障害がユーザーに影響を与える前に問題を特定できます。
カスタムロケーションの活用 - 内部トラフィックルーティングにカスタムロケーションを設定することで、プライベートネットワークを持つ組織でも効果的なトラフィック管理が可能です。
強力な監視機能の活用 - LoadMaster 360 などの監視ツールを使用し、アプリケーションの性能、サーバーの稼働状況、ユーザー行動を把握します。このデータは GSLB 戦略の最適化に不可欠です。
ドキュメントとトレーニング - IT チーム向けに GSLB 管理トレーニングを提供し、包括的なドキュメントをオンデマンドで利用可能にすることで、運用を円滑にし、問題解決の迅速化を実現します。
LoadMaster 360 による監視
ウェビナーでは、 統合アプリケーション配信プラットフォームである LoadMaster 360 についても簡単に紹介されました。LoadMaster 360 は、アプリケーション配信パフォーマンスを詳細に可視化し、展開の管理やトラブルシューティングを容易にします。リソース利用率やアプリケーション性能の主要指標を提供することで、潜在的な問題を事前に管理することが可能です。